マイクロ法人とは何か?節税額はどれくらいか?

最近よく耳にするマイクロ法人とは何でしょうか?

「普通の法人ですが上手く活用すれば、個人事業主・フリーランスにとっては最強の節税対策の法人になりますよ!
所得が400~2500万円くらいなら手取りが100万円くらい増える可能性があるので、取り組むことをおススメします」

マイクロ法人は、【個人事業主+法人】というハイブリッド型の節税スキームです。2つを同時に経営することで大きな節税(社会保険料の削減)が可能となります。

マイクロ法人というのは最近使われ始めた言い方で、スキーム自体は何年も前からあるものです。
実態はただの株式会社や合同会社のことですが、この会社での売上や人件費がものすごく少額なのでマイクロ法人と呼ばれています。誰かがこの節税スキームをバズらせるためにパワーフレーズとして使い始めたように思います。

会社設立にともなう最大のコスト

会社を設立すると節税になるという話は何となく聞いたことがあると思いますが、確かにそれは間違いない事実なのですが、会社を設立するとメリットばかりではなくコストが増えるものがあります。
いろいと増えるコストはありますがその中でもNo.1のコストが社会保険料です。

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上記の図の事例でも2倍強(約150万円)の社会保険料負担が増えてしまい、法人化の節税メリットを踏まえても最終的に手元に残るお金は80万円ほど減ってしまっています。
社会保険料は国民の社会保障費をカバーするために上がり続けていて、現在では会社から自分へ給料を支払うと合計約30%も社会保険料として負担しなければなりません。一応金額には上限があるのですが最大で約350万円も掛かります。さらに雇用保険料には上限がありません。

この社会保険料の負担の重さが理由で法人化するか悩んでいる方も多いです。フリーランスの方のシミュレーションをすると、節税対策を上手く活用しなければ社会保険料の負担のデメリットが上回り法人化しない方が良いという結果になってしまいます。

マイクロ法人の節税効果

ところが、個人事業主・フリーランスがこのマイクロ法人スキームを使うとこの社会保険を下限の約27万円まで抑えることが可能になります。制度改正がなければこの節税額が毎年継続できるので効果は非常に大きいです。

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社会保険料の負担が下がる理由は、法人での給料を最低限(月6万円程度)に設定して社会保険に加入しているからです。社会保険料は給料収入にしか掛かりません。(税金は、給与所得や事業所得などの他の種類の所得を合計した金額に税率を乗じて計算します)

スキームはシンプルで、個人事業主(本業)をそのまま続けて、本業とは異なる別の事業の法人を立ち上げるだけです。
法人の事業内容は、まったく業種の異なる副業でも本業に関連する事業でもかまいません。本業から間接業務・事務作業を受託するのを目的とする会社でもいいと思います。

マイクロ法人設立がピッタリはまるタイプ

・個人事業主・フリーランスですでに副業をしている
・所得(利益)が安定している(500万円~2000万円)
・個人事業主で配偶者を扶養している

マイクロ法人スキームに向かないタイプ

・個人事業主の所得が3000万円以上
・ビジネスをどんどん成長させたい
・サラリーマンで副業をしている

上記のタイプの場合は通常通り法人成りをして、会社運営しながら他の節税対策に取り組むことで法人の旨味を享受していくのが王道のパターンです。

導入ハードルはアイディア次第(副業じゃなくてもok!)

マイクロ法人スキームは、本業以外の事業で法人を運営する、かつ、100万円程度の売上を継続しなければならない。という点をむずかしく感じる方も多いと思います。副業でそんなにも稼げないと悩まれる方は多いようですが、上記にも記載した通り、関連業務や間接業務でも全然大丈夫です。本業関連のセミナーやコンサル・執筆、集客・営業代行、機器のレンタル業、清掃代行なども十分ありかと思います。

他の事業が見つからない場合の対処方法

それでも難しい場合、あんまり知られていないですが、実は本業だけで導入できるスキームもあります。それに関しては少しマニアックなので改めて別の記事で紹介したいと思います。(ご興味がある方はお問い合わせいただければと思います。)

マイクロ法人スキームの将来性

かなり昔からこのような活用はされていました。公認会計士や税理士はこのスキームの恩恵を受けている業種の最先端にいる人たちです。士業の方たちは個人事業主として本業の収入の他にも副業や類似業種のコンサルティング会社を経営しているので特に意識することなくこのスキームと同じ形になっています。
社会保険料負担がどんどん重くなっていくことに比例してお得なスキームとして有名になり、今では積極的にお客様に導入を進めている会計事務所も増えてきました。

節税スキームはあまりに流行するとイタチごっこで、国税庁が規制をかけるということが繰り返し起きていますが、このスキームは社会保険についての節税スキームなのでそもそも管轄が厚生労働省となっており今後の動向は見通せません。個人的にはいつ規制が入って使えなくなってもおかしくないという気持ちで構えておいたほうが精神的にも良いと思っています。